墓じまい後の御遺骨の御供養方法について
近年、少子高齢化や核家族化に伴い、「高齢になって墓じまいが難しくなってきた…」「身寄りがなく、将来はお墓を管理する人が居なくなる…」「お墓の継承者となる子どもに負担をかけたくない…」などの理由から、墓じまいや改葬をされている方が増えています。
はじめて墓じまいをするという方の中には「何から手を付けていいのかわからない」と不安に思われている方も多く、その時によくご相談をいただくのが「墓じまい後の御遺骨の御供養方法」についてです。
墓じまいは、現在のお墓を解体・撤去をして、墓所を更地に戻した上でお寺や霊園の管理者に返還することをいいます。
墓じまいで取り出した御遺骨をその後「どのように御供養するか」によって、手続きの進め方なども大きく異なるため、墓じまいを検討する際はまず最初に御遺骨の御供養方法をしっかり決めることが大切です。
そこで今回は、墓じまい後の御遺骨を適切に管理するためにも知っておきたい「御供養方法」について詳しくご紹介します。
墓じまい後の御遺骨の御供養方法
墓じまいを検討する段階でしっかり決めておくべきこと、それがお墓から取り出した御遺骨を今後どのように供養していくか?ということです。
墓じまい後の御遺骨の御供養方法には、以下のような方法があります。
・永代供養
・改葬(新しいお墓に移す)
・納骨堂
・樹木葬
・海洋葬(散骨)
・手元供養
墓じまいを行う際は、御親族ときちんと話し合う場を設け、よく相談した上で御遺骨の御供養方法を決定することが、後々のトラブルを未然に防ぐことにもつながります。
以下では、それぞれの御供養方法について詳しく紹介していきます。
▶永代供養
墓じまい後の御遺骨の御供養方法として、最も多いのが「永代供養」です。
永代供養とは、お寺や霊園が御遺骨を預かり、お墓を管理する家族の有無に関係なく、永代にわたって一括で供養を任せられる方式のことです。
永代供養は、お寺や霊園がお墓の維持や管理などを全般的に引き受けてくれるので、お墓の継承者の負担が軽くなります。
また、一度お寺や霊園に永代供養料を納めた後は、墓石のメンテナンスなどの経済的な負担がないといったメリットがあります。
永代供養で多いのが、御遺骨がひとつの永代供養墓に合葬される「合祀」です。
ご自身でお墓を所有する場合、墓石のメンテナンスをはじめ、お寺や霊園に収める管理費が必要になりますが、永代供養合祀墓では他の御遺骨と同じ場所に合葬されるため、個別にお墓を所有する場合に比べて費用を安く抑えられます。
永代供養を選択して事前に永代供養料を収めれば、将来残される子どもに経済的な面で苦労や迷惑をかけなくて済むといったメリットがあります。
お寺や霊園によっては、「個別」の永代供養墓があるところもあります。
永代供養と聞くと、永遠に供養してもらえると思われることが多いのですが、お寺や霊園の多くは故人の三十回忌や五十回忌までなど、一定の期間が終わった時点で「個人永代供養墓」から「合祀永代供養墓」へうつす、という規定が設定されています。
また、個人・合祀に限らず、お寺や霊園によって永代供養の期間や内容はさまざまなので、契約をする前にしっかりと契約内容を確認しておくことが大切です。
▶改葬(新しいお墓に移す)
改葬とは、今あるお墓から御遺骨を取り出して、他のお寺や霊園など別の場所にある新しいお墓に移すことをいいます。
お墓参りがしやすい場所に御遺骨を移したい、お墓が古くなったので他の場所で新たに立てたお墓に御遺骨を移して供養したい、という方に選ばれている供養方法です。
将来的にお墓を継承してくれる子どもや親族はいても、お墓から遠い場所に暮らしている場合は何かと不便なことが多くなるため、後の継承者にかかる負担を少しでも軽減するためにも、早めに墓じまいをして家から近い場所に改葬して供養していくという方法もひとつの選択肢です。
▶納骨堂
近年、都心部などで増えている供養の形が「納骨堂」で供養するという方式です。
納骨堂とは、室内に御遺骨を納骨しておくためのスペースのことで、仏壇があるタイプの納骨堂もあれば、ロッカータイプの納骨堂など、様々な種類があります。
都心部などでは交通機関や駅に近い場所に納骨堂がある場合が多いことから、天候などに左右されることなく、いつでも好きなときにお参りができるといったメリットがあります。
納骨堂では御遺骨が個別で管理されているため、墓じまいで取り出した御遺骨は骨壺のまま納骨することができます。
一般のお墓と同じようにお参りできることはもちろん、自分たちが主体となって家族で代々継承して使用できるのも納骨堂の特徴です。
もしも将来的に継承者がいないなどの理由で納骨堂の維持や管理が困難になる可能性がある場合は、納骨堂の永代供養を選ぶという選択肢もあります。
納骨堂には、合祀型と呼ばれる永代供養のためのスペースがあるため、屋外にある永代供養墓のように御遺骨の供養なども全てを納骨堂に一任できます。
▶樹木葬
墓じまい後の御遺骨の御供養方法には様々な方法がありますが、その中でも特に最近増えているのが「樹木葬」と呼ばれる方法です。
樹木葬とは、一般のお墓のように墓石に御遺骨を納骨するのではなく、自然の木々や草花のもとに御遺骨を埋葬するという方法をとります。
まだ新しい御供養方法ですが、樹木葬のための専用スペースが設けられた公園墓地なども増えています。
樹木葬の場合、御遺骨が地中の土に直接ふれるかたちで埋蔵するため、いずれ自然に還り、故人がより静かに眠ることができる方法として一般的に広がりつつあります。
墓石を必要としない樹木葬の場合、墓じまいをした後にお墓を新しく作る必要がないため、費用の負担を軽減できる、残される子どもに面倒をかけずに済むといったメリットがあります。
尚、埋葬の種類のひとつである樹木葬はどこでも好きな場所で行えるわけではなく、樹木葬のできる霊園を探して行う必要があります。
樹木葬に対応している霊園よっては、山林で樹木葬ができたり、霊園の敷地内にある公園の樹木に御遺骨を埋葬できたりと、埋葬場所を選ぶことも可能です。
他の御遺骨といっしょに埋葬する合祀タイプ、1本の樹木の周りに複数の御遺骨を個別に分けて埋葬する集合タイプ、あるいは1本の樹木に対して1世帯単位で個別に御遺骨を埋葬する個別タイプなど、ご自身や御親族の意向に合わせて樹木葬の種類を選ぶことができます。
▶海洋葬(散骨)
「海洋葬」は、墓じまい後の御遺骨を細かく粉砕してから海に散骨する御供養方法です。
墓じまいをして墓石を解体・処分した後に新しいお墓を作る必要がないため、墓石費用がかかりません。
また、樹木葬のように霊園の敷地内に御遺骨を埋葬して管理をしてもらう必要がないため、永代供養料や管理費などの経済的な負担が軽減されます。
細かく粉砕した御遺骨をすべて海に散骨することも可能ですが、海洋葬を行う施設によっては、粉砕した御遺骨の一部だけを海に散骨し、手元供養分の御遺骨を残しておく場合もあります。
海洋葬を行う場合は、トラブルに発展させないためにも散骨する場所や環境には十分配慮する必要があります。
▶手元供養
手元供養とは、その名のとおり墓じまい後の御遺骨を自宅で保管して供養することをいいます。
骨壺に納められた御遺骨を自宅で保管する、あるいは御遺骨の一部を細かく粉砕してペンダントに入れて保管するといった方法もあります。
御遺骨を最も身近な場所に置いて供養できるようになるため、大切な故人をいつも近くに感じていたい方や、お墓を新しく建てる予定がない方などに多く選ばれている御供養方法です。
改葬手続きが必要な御供養方法とは?
ここまで紹介したように、墓じまい後の御遺骨の御供養方法には多くの選択肢があります。
どの御供養方法が最も適切なのかは人によって異なるため、墓じまいをする前に必ず御親族とよく話し合いをしてから御供養方法を決めることをお勧めします。
また、御供養方法によっては、墓じまいを行う前に「改葬の手続き」が必要になります。
改葬の手続きを行わずに墓じまいを進めてしまうと、法律に違反することになります。
そのため、墓じまい後の御遺骨をどのように供養するかを決めたら、選んだ御供養方法に対して改葬の手続きが必要かどうかを確認し、早いうちから手続きを始めるようにしましょう。
墓じまいを行う上で、改葬手続きが必要な御供養方法は「改葬」をする場合です。
改葬とは、墓じまいをして取り出した御遺骨を別の場所に移して供養することを指します。
例えば、今のお墓から納骨堂に御遺骨を移す、別のお寺や霊園の永代供養墓に御遺骨を移す、新しく作ったお墓に御遺骨を移す、樹木葬墓地へ御遺骨を移動する場合などは、改葬にあたります。
一方、同じお寺や霊園の敷地内でお墓を移動する場合や、散骨(海洋葬)、手元供養の場合は、改葬にはあたりません。
改葬の手続きでは、埋葬証明書・受入証明書・改葬許可証の申請書が必要になります。
これらの書類を準備した上で申請を行い、改葬の許可が下りたら墓じまいをして別の場所に御遺骨を移せるようになります。
株式会社 美匠では、改葬手続きの代行から墓じまいの墓石解体・撤去工事、僧侶の手配、御遺骨の移動・納骨まで、墓じまい全般の手続き・作業をお任せいただけます。
今回紹介したような御遺骨の御供養方法についても、ご家族の思いを尊重することを念頭に適切なアドバイスをさせていただきます。墓じまいでお困りのお客様への無料相談サービスを実施しておりますので、いつでもお気軽にご利用下さい。